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「研究開発⇄事業化」の好循環サイクルを回す、PKSHA Conference 2022イベントレポート

こちらの記事は2022年10月に執筆されたもので
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

PKSHAグループが目指すVision「人とソフトウエアの共進化」の実現に向けた現在地をお届けするマガジン『PKSHA ナラティブ』。
 
PKSHA Technologyではエンジニア主催の社内勉強会が多く開催されてますが、今回はその中でも大規模イベントの「PKSHA Conference」について簡単なレポーティングをしていきます。
 
「PKSHAにいる人たちって、どんなことに意識を向けているんだろう?」
といった点に興味を持っていただける方は、ぜひご覧ください!

1.「PKSHA Conference 2022」ってどんなイベント?

(1) PKSHA Conference 開催の目的

PKSHAグループには様々な事業領域があるのですが、そうした事業領域や職域に関係なくグループ社員がAI技術の活用について知見を共有し合い議論し合う場として、第1回目となる「PKSHA Conference 2022」が開催されました。
 
PKSHA Conferenceの目的は、以下の2つです。

1. 研究開発成果の事業化による価値創出と、事業により生まれるデータ・知見から研究開発が加速する好循環サイクルを生み出す
 
2. 技術者間での相互交流や知見の共有を通じた成長の場を提供する

 1つ目の目的で言及している「好循環サイクル」について補足をします。

PKSHAグループ内には、自然言語処理、機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムを研究開発(R&D)する「PKSHA ReSearch」という領域と、研究開発成果をソリューション/プロダクトの形で社会へ実装する「PKSHA Enterprise AI 」という、大きく分けて2つの領域があります。
双方の領域は、ソフトウエアの社会実装という一方向の関係ではなく、「PKSHA Enterprise AI」で蓄積したノウハウ・データを「PKSHA ReSearch」に活用し研究を深めるという双方向の関係にあります。そして、この双方向の働きを「好循環サイクル」と呼んでいます。

PKSHAグループ「好循環サイクル」の概念図

PKSHAでは、先端情報技術の社会実装を加速させるために、分野をまたいだ発想が重要という考えがあります。 そのため、PKSHA Conferenceでは、
「この技術、うちのプロダクトでこう使えないか?」「そういうことがしたいのであれば、こういう技術も使えるのでは?」といった発想やコミュニケーションが社内で活発化することを目指しています。
 

(2) ドット絵RPG風なバーチャルオフィス「Gather」でフルリモート開催

開催方法は、オフィスとオンラインでのハイブリット開催を当初予定していたのですが、コロナ禍の状況を鑑みてフルリモート開催へ急遽変更になりました。
 
フルリモート開催にあたり「Gather(ギャザー)」というバーチャルオフィスツールを利用したのですが、ドット絵RPG風なデザインになっていて、ゲームをしているような感覚でイベントを体験できました。
 
Gather上でのイベント風景を以下いくつかご紹介します!

Gatherイベント会場の間取り図
オーラルセッションスペースで全体向けに発表を行っている様子
フリースペースでMtgをしたところ、いろんな人が集まってゲリラライブ状態と化している様子(笑)
勘のいい人だけが見つけられる裏スペースも(笑)

2.R&D責任者が、自然言語処理技術の変遷や可能性を発表

各メンバーの個別具体的な発表とは別に、R&D責任者・渡邊からは、
『Communication Technologyの進化と、PKSHAにおける研究開発・社会価値創出のこれまでと未来』
というテーマで、非エンジニアのメンバーでも理解しやすい粒度でテクノロジーとPKSHAの取り組みの全体感を捉えられる発表が行われました。
 
以下、一部を抜粋してご紹介します。

2018年にGoogleが発表したことで有名なBERTやGPTという自然言語処理モデルの登場で、技術が一気に進展し、その後の発展版モデルではAIが人の能力を上回って言葉の意味を理解できるようになっている、という話。
「AIが読解力で人間を超えた」と話題になっていましたね。

「対話行為分類AI」という、人の発話意図を自動で分類・判定する技術についての説明です。この技術を活用することによって、「相槌」「質問」「提案」「感謝」「謝罪」などの対話行為の割合をデータで取得できるようになり、コミュニケーションの傾向等を分析できるようになります。

PKSHAグループには、顧客体験(CX)向上のために未来の企業と顧客とのコミュニケーションの在り方を探求する「株式会社PKSHA Communication」や、従業員体験(EX)向上のために未来の社内コミュニケーションの在り方を探求する「株式会社PKSHA Workplace」という事業会社があります。
上記のようなコミュニケーション傾向の分析データは、各事業領域でコミュニケーションの在り方を探求する私たち にとって示唆に富む内容です。

3.発表者の中から5名にインタビュー

第1回開催にも関わらず、「PKSHA Conference 2022」では20人以上ものメンバーが手を挙げ、結果22本ものポスター発表が行われました。(みなさんプロアクティブ…!)

 ※ポスター発表:研究概要をまとめた大判のポスターの前で行うプレゼンテーションの一形式

そんな中、今回は私の独断と偏見で5名の発表者の方にお声がけをして、開催直後のアンケートをお願いしました。アンケートの回答内容を以下ご紹介します!

竹川 洋都 (アルゴリズムエンジニア)

—— 今回の発表をしようと思った理由は?
自分が運営に関わっている分、最低限盛り上げたいという気持ちもありましたが、今回話した内容は自分が関わっているプロジェクトの中でも使っている技術が珍しいので、それを使った別のソリューションを提案できたらいいなという気持ちやドメイン知識を比較的要求する分野なので、詳しい人がいれば一緒に議論したいという思いがあり発表しました。
 
—— 発表後は、どんなNEXTアクションに繋がるとうれしいですか?
実際発表でもその領域のクライアントさまと仕事されている方が聞きに来ていたので非常に面白かったです。
発表を聞いた人がどこかのクライアントさまへの提案まで持っていってくれたら嬉しい限りです。
 
—— 愛読している書籍があれば教えてください!
最近だと『サーキットスイッチャー』(著:安野 貴博)という自動運転をテーマにした小説が面白かったです。
またAtiyahの『K-theory』(著:M.F. Atiyah, D.W. Anderson)の和訳が発売されたので、少しずつ読んでいます。

眞鍋 優(BizDev・プロジェクトマネジャー)

—— 今回の発表をしようと思った理由は?
現在、主に保険会社における不正請求検知/マッチングサービス事業者やソーシャルメディア における不正投稿監視に関するソリューション事業開発/推進を担当しています。
まずは取り組みの概要/活用中の技術および優位性/今後の展開方針について知っていただきながら、今後より多くのお客様に使っていただけるソリューションに仕立てるべく、まだ活用し切れていない技術適用の余地について、部署間を跨いで幅広に意見交換が出来ればと思い発表の機会をいただきました。
 
—— 発表後は、どんなNEXTアクションに繋がるとうれしいですか?
発表後には別部署の方から個別にご連絡いただく事が増え、この発表を機にこれまで直接関わることがなかった他部署の方との繋がりが少しずつ生まれているのを実感しています。
今後は頂いたアイデアを基に、より具体的なソリューションデザインの検討を進めていきたいと考えています。
 
—— 愛読している書籍があれば教えてください!
『経営リーダーのための社会システム論: 構造的問題と僕らの未来』(著:野田智義、宮台 真司)
目の前の顧客課題の解決に向けて日々邁進する事は勿論ですが、同時に自分達の社会は今後どのように変わっていくのか・そこで必要とされるサービスはどのような姿か、という大きな視点に立ち、少し先の未来に対して想像力を働かせながら仕事に向き合うことがこれから益々重要なのだと本書を通じて改めて感じました。
直接的なノウハウ本ではないですが、ソリューションデザインに関わる方にオススメです。

富田 晃弘(アルゴリズムエンジニア)

—— 今回の発表をしようと思った理由は?
プライベートで同僚と金メダルを取ったKaggleレコメンデーションコンペについて発表したのですが、もちろん好成績を自慢したいというのもありましたが(笑)、コンペで培った技術を事業へ還元している点を紹介したいと思いました。エンジニア主体で新しいソリューションの提案に繋がったのですが、ビジネスサイドとエンジニアの垣根の低い、非常にPKSHAらしい取り組みだと感じています。

—— 発表後は、どんなNEXTアクションに繋がるとうれしいですか? 
Kaggleレコメンデーションコンペは、様々な企業にレコメンデーションを軸に提案し、社会実装できればと思っていますので、有望な提案先を色々な方にご紹介いただけるとありがたいです!

—— 愛読している書籍があれば教えてください!
乱読タイプなので「愛読書」と呼べるものはないですね笑
最近読んだ本で印象深いかったのは、『思考からの逃走』です。AIの普及に伴い、人間がその本質であるはずの思考という営みをAIにアウトソーシングしつつある現状を、様々な観点から論じています。
AI開発に携わる者として、自分が作るAIがどういう社会的影響を与えうるのか、これからも逃げずに思考し続けたいと思っています。

澤端 日華瑠(アルゴリズムエンジニア)

—— 今回の発表をしようと思った理由は?
とあるプロジェクトを行った際に得られた知見について、技術的に同様のプロジェクトの横展開に有用と考え、発表に至りました。
 
—— 発表後は、どんなNEXTアクションに繋がるとうれしいですか?
今回得られた知見をもとに、外観検査系のプロジェクトに横展開していければこれ以上のことはありません。ビジネスサイドの方が積極的にお客さんに提案して下さるように更に研究開発を進めて知見を重ねられたらと思います。
 
—— 愛読している書籍があれば教えてください!
『コンビニ人間』(著:村田沙耶香)
「AIは人の仕事を奪うのか?」という内容の朝会発表を聞いたときに発表者が参考として取り上げていた小説です。自身と違う価値観の人間の誇りや仕事を自分の技術が奪ってはいないだろうかと自身に問い続けるきっかけになりました。

福地 成彦(アルゴリズムエンジニア)

—— 今回の発表をしようと思った理由は?
事業部間連携のR&Dプロジェクトを進めていた中で、開発したアルゴリズムをグループ内の他のプロダクトやプロジェクトに横展開できるのはないか?という仮説があったので壁打ちのために発表しました。
 
—— 発表後は、どんなNEXTアクションに繋がるとうれしいですか?
現在、開発したアルゴリズムをグループ内に提供するためのAPIを準備しているので、アルゴリズムの活用先のアイデアやニーズをもっと聞きたいですね。( 注: 2023年5月現在、APIを開発&社会実装の取り組みが進行中)
 
—— 愛読している書籍があれば教えてください!
愛読書というわけでないのですが、 「知ってるつもり 無知の科学」(著: スティーブン・スローマン,フィリップ・ファーンバック)は、ヒトの「社会的」な知能について議論がされていて、読んでいて面白かったです。

それぞれ皆さんの発表内では、各領域のエンジニアだけでなくビジネスサイドのメンバーも加わり、「この技術をここに転用したらどうか」「このお客様はどういった点に技術的な優位性を感じていたのか」等、実際のプロダクトやビジネス現場をイメージしながら、インタラクティブな意見交換が飛び交っていました。
いろんな領域での知見が交流されていて、メンバー間での「共進化」が進んだような気がしました。

4.最後に

「PKSHA Conference 2022」の空気感と発表された方々の人柄・姿勢がすこしでも伝わりましたでしょうか?
なんとなくでも、PKSHAグループのイメージを持っていただけたなら幸いです。
 
今後も、「人とソフトウエアの共進化」を目指すうえでの様々な取り組みについて当マガジン「PKSHA ナラティブ」で発信していきますので、よければぜひフォローよろしくお願いします!


INFORMATION

PKSHA Technologyでは、ともにはたらく仲間を募集しています。
Wantedlyや採用サイトから応募が可能ですので、是非ご覧ください!
 
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取材・執筆:鈴木洋佑
編集:伊藤勇剛

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