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AWS re:Invent 2022 参加レポート

こんにちは、22年新卒でPKSHA Technology に入社したソフトウエアエンジニアの林です。昨年の11月28日から12月2日の間、ラスベガスで開催された AWS re:Invent 2022 に林と三村の二人で参加してきました。

今回の参加レポートでは、新製品等についてはあまり触れず、私が参加して得られたものや、感じたことについて書いていきたいと思います。

林良祐 | AI Solution事業本部 ソフトウエアエンジニア
大学院博士課程(東京大学大学院理学系研究科化学専攻)では超短パルスレーザーと金属の相互作用について研究する。
2022年4月にPKSHA Technologyにソフトウエアエンジニアとして新卒入社し、現在はGoでのバックエンド開発や、Flutterアプリ開発、Next.jsでのフロントエンド開発に従事している。

林とAI Solution事業本部(PKSHAのアイテックチーム)のエンジニアリングマネージャーとアイテック社の開発統括を兼任している三村の過去インタビュー記事はこちら。

AWS re:Invent とは?

AWS re:Invent とは、AWS (Amazon Web Services) が毎年開催するクラウドコンピューティングに関するカンファレンスです。アメリカのラスベガスで開催され、今年で11回目となります。5日間で二千を超える様々なセッションやイベントが開催され、全世界から数万人のエンジニアが現地に集まります。新製品の発表などが行われる Keynote や、各サービス領域のリーダーが製品のこれまでの流れや成果、今後のビジョンについて発表する Leadership session はオンラインでも中継、配信されます。

その他にも、少人数を対象として、製品の具体的なユースケースについて対話形式で発表する Chalk talk や、LT のようなものまで様々なセッションがあります。また、Expo 会場では各スポンサーがブースを出しており、各社の製品の話を聞くことができます。新しいサービスやアップデートについては、AWS Blackbelt にまとめられています。

AWS re:Invent 参加に際して

弊社は多くのチームでAWS のインフラ環境やサービスを全面的に採用しており、クラウドネイティブなインフラを構築しています。今やソフトウエア開発にデリバリーのプロセスにおいて、クラウドサービスの知識や運用上の知見は必要不可欠です。AWS に関する理解を深め、AWS の開発者や全世界のエンジニアとのネットワーキングを行い、それらを社内に広く共有することを目的として、弊社ではエンジニアが現地参加できるように参加費や旅費の補助を行っています。

今回参加した林と三村が所属するPKSHAのアイテックチームをはじめ、三村が開発統括を務めるアイテック社でも AWS を利用しています。我々はクラウド上で動くソフトウエアだけでなく、 日本全国に散らばる駐車場機器というハードウェアや、ソフトウエアとハードウェアを結びつける部分の開発や運用も行っています。IoT やエッジコンピューティングなどとも関連しますが、このソフトウエアとハードウェアを結びつける部分には多くの難しさがあり、多くの課題が残っています。そのため、この領域の知見を得るというのが私たちの目的の一つでした。また、アイテックチームでは Kubernetes を利用しています。Kubernetes 周辺領域は日々進歩しており、最新の情報や関連ツールについてキャッチアップしたいと思っていました。

AWS re:Invent で得られたもの

AWS やその他テック企業のサービスに関する知識や知見

今回参加した2人はIoT 領域に興味があったので、関連するセッションにいくつか参加しました。AWS IoT 関連の Chalk talk では、製品の使い方だけなく、既に AWS IoT を利用している会社がどのようなアーキテクチャで運用しているかなど、かなり具体的な話を聞くことができました。Chalk talk は資料や映像が残らないので、今回はなるべく Chalk talk に多く参加するようにしていました。Chalk talk では実際に質問したり、議論したりできるので、非常に良い経験になりました。

弊社は AI/ML 領域に強みがあるということもあり、AWS の機械学習向けチップ (Inferentia/Tranium) の開発を行っているチームの方や、実際に Inf1 インスタンスを利用している企業の方と交流する機会を AWS の方に設けて頂きました。Inf1 のコストパフォマンスの良さなどを開発側と利用側の両方から聞くことができ、弊社の他チームにも還元できる知見を得ることができました。

また、私は時間が空いたらとにかく Expo に行って、色々な企業の展示を見ていました。Expo では開発や運用で役立ちそうなツールやサービスの情報を新たに知ることができたのはもちろん、普段使っているサービスについて質問したり、議論することができ、有意義な時間を過ごすことができました。各企業はそれぞれTシャツや靴下などのSWAGを配布していて、私もたくさんのSWAGをもらいました。

SWAGでもらった黄色のセーター

全世界の潮流、トレンドを肌で感じた

Keynotes や Leadership sessions では “Data“ や “Sustainability“ といったワードが何度も登場していました。我々が取り扱うデータ量は爆発的に増え続けており、データをうまく活用することがビジネスにおいて重要であることや、環境問題についてグローバル企業が真剣に取り組んでいることを改めて知ることができました。

また、私が一番印象に残ったワードは “Innovation“ です。AWS の発表だけでなく、Expo で話をした多くのグローバル企業も Innovation のためにはイテレーションを早く回すことが重要だということを強調していました。自分やアイテックチームはスピード感を持って Innovation を起こせているか?について改めて考える機会となりました。

技術の面では、エンジニアたちが今何に興味があるのか、AWS が今何に注力しているのか、今のトレンドは何かを知ることができました。ここ数年の新製品情報などからサーバーレスがトレンドであることはなんとなく感じていましたが、サーバーレス関連セッションが人気だったり、Keynote での Lambda SnapStart 発表時の会場の盛り上がりだったりと、サーバーレスがトレンドであることを改めて肌で感じました。

Keynoteの様子

re:Invent 終了後

re:Invent が終わり帰国した後、社内勉強会で re:Invent 参加レポートを行いました。re:Invent 中に発表された主要な新サービスや、セッションで得られた知識、参加してみての感想などを話ました。

社内勉強会での re:Invent 参加レポートの様子

これをきっかけにして、AWS 製品をどう活用するかについての議論や、実際に使ってみようといった動きが始まっていて、会社全体で AWS を活用してもっと新しいことをやっていこうという雰囲気が生まれているように感じています。社内勉強会で発表した「気になった発表・展示」について、こちらでもいくつか紹介しようと思います。

CON208-L: Kubernetes virtually anywhere, for everyone

後半で紹介されていた Karpenter は試してみたいなと思いました。Karpenter の Provisioner の YAML で CPU arch や spot を使うかどうかなどの条件を指定し、consolidation: true をすると、その条件に合う一番安い Node に自動で入れ替えてくれる様子のデモは非常に印象に残っています。

Youtube にも上がっているので、 興味がある方は是非見て頂きたいです。

BOA303: Building a seamless car parking experience with AI/ML and IoT

“parking“ でセッションを検索して唯一出てきた Chalk talk で、林と三村の2人で参加しました。「parking は不便だが、技術で便利にできる」というのがこの Chalk talk の背景です。発表者は海外の方々でしたが、海外においても駐車場体験はあまり良いものではないようで、停める場所を探すのが大変であったり、予約ができないとか、決済が面倒などの不便な点があるそうです。このセッションでは、より seamless な parking experience を AWS の IoT 製品と AI/ML 製品で実現するために、プロトタイプを作ってみたという内容でした。

アイテックチームとアイテック社では、日本の駐車場を対象として、未来の駐車場体験を実現するシステムを開発しています。我々が目指している未来の駐車場体験は、Chalk talk で話されていた seamless car parking experience とかなり近いものでした。実は、既に我々は駐車場車室の予約や、アプリ上で決済方法とナンバーを登録しておけば、入庫して出庫するだけで自動で精算されるサービスなど、seamless car parking experience を実現しています。

この発表では、ゲート式駐車場で入庫時に空いている車室を運転者に通知し、出庫時に自動で決済する駐車場のプロトタイプを AWS IoT と SageMaker で作っていました。紹介されていたハードウェア構成やアーキテクチャは、車を検知してバックエンドに通知する箇所など、いくつかの点で我々のものとは大きく異なるものでした。Chalk talk だったので、発表者にハードウェア構成やアーキテクチャの詳細について質問したり、通信障害でオフラインになったときにどうするか?天候要因(雪や雨)でセンサーでうまく情報が取れなかったらどうするか?などの議論ができ、非常に勉強になりました。

OPN206-R: Why you should use a container-optimized operating system

今回は参加した Chalk talk は IoT 関連のものが多かったですが、個人的に興味のある少し低レイヤ寄りの Chalk talk にも参加しました。

EKS の Node group を作るときに、AMI type を Amazon Linux 2 と Bottlerocket と Windows server の3種類(GPU Enabled や Arm などの更に細かい選択肢もありますが)から選ぶことができます。GKE でも Node pool を作るときに、Image type として Container-optimized OS や Ubuntu などの選択肢があります。Bottlerocket や Container-optimized OS (Google) などの Container-optimized OS は Amazon Linux 2 や Ubuntu などの General purpose OS とは異なり、コンテナの実行に必要なソフトウエアのみが含まれています。そのため、 k8s の Node の OS として Container-optimized OS を使うことで、高いセキュリティを保つことができ、OS のアップグレードなどのメンテナンスコストを下げることがきます。この Chalk talk では、Bottlerocket の具体的なアーキテクチャについても解説があり、非常に面白い発表でした。

Expo: LaunchDarkly

Expo のブースでデモを見せてもらったのですが、とても便利そうでした。ユーザー毎に機能の出し分けをしたり、A/Bテストや先行リリースをするための Feature flag を管理するプラットホームです。リアルタイムで flag を更新することができ、かなり柔軟なターゲティングができるようです。主要な言語、フレームワークで SDK が提供されており、我々のプロダクトにも組み込めるのではないかと話をしています。

Expo: Kubecost

先述の CON208-L でも少し登場していました。Kubernetes のコストやリソース効率の監視ツールで、Cloud platform (EKS/GKE/AKS/On-premise) を跨いだ複数のクラスタを一元管理できるそうです。現状我々が管理している Cluster や Node はさほど多くないので、特に困っていることはないですが、そのうち使ってみたいなと思っています。

感想

初めての re:Invent 現地参加でしたが、非常に有意義な経験でした。多くの学びがあったのはもちろんですが、自分やアイテックチームはスピード感を持って Innovation を起こせているか?と改めて考える機会にもなりました。ちょうど同じチームの三村と参加していたのもあって、毎晩 wrap up をしながらチームにどう活かせるかの議論ができたのは非常に良かったです。

反省点としては、サービスについての知識や経験が足りておらず、あまり深い議論に参加できなかったことです。自分があまり知らない製品に関するセッションに参加するようにしていたのもありますが、もう少し予習をしておくべきでした。また、今回はほとんどの時間をセッションや Expo の参加に使っていましたが、もう少し GameDay などの HaveFun イベントやネットワーキングに使っても良かったかなと思っています。

ほとんど観光する時間は無かったが、夜散歩しているときに撮ったラスベガスっぽい写真

最後に

PKSHA Technology では “Innovation“ を生み出す仲間を募集しています。クラウドネイティブやコンテナ、IoT やエッジコンピューティングに興味のある方は是非カジュアル面談しましょう。


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