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AWS re:Invent 2023 参加レポート

こんにちは、PKSHA Technology ソフトウエアエンジニアの林です。11月27日から12月1日にラスベガスで開催された AWS re:Invent 2023 に参加してきました。実は2年連続の参加で、今年は1人で参加してきました。
去年のレポートはこちら↓

林良祐 | PKSHA Communication 事業開発本部 プロダクト推進部 新規開発グループ / AI Solution 事業本部 アイテック
大学院博士課程(東京大学大学院理学系研究科化学専攻)では超短パルスレーザーと金属の相互作用について研究する。2022年4月にPKSHA Technologyにソフトウエアエンジニアとして新卒入社し、AI Solution 事業本部で駐車場領域でのプロダクト開発に従事。現在は PKSHA Communication の事業開発本部を兼務し、新たな SaaS プロダクトの開発を行っている。

この参加レポートでは、昨年のレポートと同様に新製品等についてはあまり触れず、私が参加して感じたことについて書いています。特に、昨年と比べて変わったところ、変わらなかったところについてお伝えできれば良いなと思います。

AWS re:Invent とは?

AWS re:Invent とは、AWS (Amazon Web Services) が毎年開催するクラウドコンピューティングに関するカンファレンスです。アメリカのラスベガスで開催され、今年で12回目となります。5日間で二千を超える様々なセッションやイベントが開催され、全世界から5万人を超えるエンジニアが現地に集まります。

日本からの参加者も多く、毎年1000人以上が参加しているそうです。新製品の発表などが行われる Keynote や、各サービス領域のリーダーが製品のこれまでの流れや成果、今後のビジョンについて発表する Leadership session はオンラインでも中継、配信されます。その他にも、少人数を対象として、製品の具体的なユースケースについて対話形式で発表する Chalk talk や、AWS のサービスとはあまり関係のない個人開発プロダクト紹介 LT のようなものまで様々なセッションがあります。

また、Expo 会場では各スポンサーがブースを出しており、各社の製品の話を聞くことができます。今年の re:Invent で発表された新しいサービスやアップデートについては、AWS Blackbelt にまとめられています。

AWS re:Invent 参加に際して

弊社は多くのチームで AWS のインフラ環境やサービスを全面的に採用しています。未来のソフトウエアを安定して早くデリバリーするためには、AWS などのクラウドサービスを正しく使いこなすことが重要です。AWS に関する理解を深め、AWS の開発者や全世界のエンジニアとのネットワーキングを行い、それらを社内に広く共有することを目的として、弊社ではエンジニアが現地参加できるように参加費や旅費の補助を行っています。

私は現在、PKSHA Communication の事業開発本部の新規開発チームと AI Solution 事業本部のアイテックチームに所属しています。事業開発本部では AWS の各種サービスを利用して AI SaaS プロダクトを開発、運用しています。AI SaaS プロダクトでは多様な ML/AI 技術を利用しており、それらを自社で開発、運用しています。ML/AI 技術をアプリケーションに組み込むノウハウは社内に蓄積されてはいますが、開発スピードや運用コストなどの面で改善すべきところはまだ多くあります。ML/AI 領域の最新情報を入手し、開発運用における知見を得ることが今回の目的の一つでした。

また、私が入社以来所属しているアイテックチームでも AWS を利用しています。PKSHA のアイテックチームおよびグループ会社のアイテック社では、クラウド上で動くソフトウエアだけでなく、 日本全国に散らばる駐車場機器というハードウェアや、ソフトウエアとハードウェアを結びつける部分の開発や運用も行っています。そのため、昨年は IoT 関連のセッションに多く参加しており、今年も IoT 関連のアップデートを追いたいと思っていました。

その他にも、個人的な興味領域ではありますが、Kubernetes やコンテナ関連技術、量子コンピューター関連のセッションも楽しみにしていました。

re:Invent 参加に際して、AWS アカウントチームからは、日本語対応のイベントや出展ブースの紹介を頂きました。また、今年は申し込みがギリギリになってしまったり、日程も少し短めだったりしたのもあり叶いませんでしたが、十分な調整期間があれば US のサービスチームとロードマップや機能開発に関する情報交換をしたり、国内外の SaaS 事業者との引き合わせの機会を作って頂くこともできたようです。

今年の re:Invent

今年の re:Invent は生成系 AI (GenAI) がトレンドで、世界の潮流が去年から変化したことを感じました。今年は多くの企業が GenAI、特に大規模言語モデル (LLM) 関連の新サービスを出していたので、おそらく多くの人が re:Invent でも何かのアップデートがあるだろうとは予想していたとは思います。それでも Bedrock のアップデートや Amazon Q の発表で Keynote 会場は大いに盛り上がっていました。Keynote では “Data is the differentiator for generative AI applications” という言葉も出てきましたが、ユーザーが自らのデータを用いて GenAI を作り、アプリケーションとして提供するためのツールが揃ってきたように感じました。

PKSHA グループでは、LLM の社会実装に取り組んでおり、ソリューション提供やプロダクトでの LLM 活用を行っています。

GenAI 関連のアップデートは社内でも注目度が高く、これらのツールをいかに活用すれば GenAI の社会実装を加速させられるのかについて、社内で活発に議論しています。今回の re:Invent では GenAI 関連の Chalk talk や Breakout session にいくつか参加し、GenAI application についての発表や議論を多く聞くことができました。普段社内でも GenAI application について議論をしていますが、re:Invent では AWS をフル活用したアーキテクチャや、データの価値を LLM で最大化させる方法など、普段とは少し違った視点での議論に入ることができ、非常に有意義な時間となりました。

特に、Amazon Connect などの人同士の接点における LLM 活用は非常に学びが多く、我々のプロダクトを進化させるヒントを得られたと思います。問い合わせ対応の人から AI への置き換えは既に我々の AI SaaS プロダクトでも行なっていますが、問い合わせ対応業務で人が時間をかけている箇所はまだ多くあります。LLM を使うことで、対応中や対応後のオペレーター支援であったり、より良い顧客体験の実現のためのより高度な機能を提供できると思います。

会場のスライドより

Expo でも各社プロダクトに生成AIを活用した機能が搭載されており、改めて世界のIT企業のスピード感を感じました。AI assistant に質問したら AWS 構成についてアドバイスしてくれる機能であったり、CI がエラーで失敗したときに AI がエラーの解決方法を教えてくれる機能など、LLM を活用したものが多かったです。また、12/6 にリリースアナウンスがありましたが、JetBrains IDEs の AI Assistant のデモを Expo で一足先に見ることができました。JetBrains IDEs のヘビーユーザーの私としても、是非使ってみたいなと感じました。

量子コンピューターに関するセッションにも少し参加しましたが、まだあまり波は来てないようでした。ただ、着実に前には進んでいるようなので、今後の進化が楽しみです。

re:Invent 終了後

帰国後、次の週の社内エンジニア勉強会で早速 re:Invent 参加レポートを行いました。re:Invent で発表された新サービスやセッションの情報、今年の re:Invent の雰囲気などを共有し、新しい取り組みなどについて議論しました。

社内報告会の様子

生成 AI をソフトウエアに搭載することについては勿論ですが、S3 Express One Zone の活用方法や、Graviton 4 & R8g インスタンスの使いどころなど、様々な議論ができました。去年は re:Invent をきっかけに、Inf1/Inf2 を試してみるなどの新しい取り組みが始まりました。今年もすでに多くの試してみたいことができたので、これから色々と試してみたいと思っています。

実は、アイキャッチ画像は現地で自撮りした写真をベースに Bedrock の amazon.titan-image-generator-v1 の IMAGE_VARIATION で水彩画風に加工したものをベースにしています。

amazon.titan-image-generator-v1 で加工した画像

Python のコードを少し書くだけで、簡単に StableDiffusion や Titan などの GenAI を使うことができます。今回はプロンプトやパラメーターのチューニングをあまり頑張らなかったので、謎のツールバーっぽいものが出てしまったり、元の写真とは似ても似つかない感じになってしまいましたが、簡単なコードで使うことができますし、コストもそれほど高くないので、これからも試行錯誤してみたいと思います。

感想

今年の re:Invent も楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。生成 AI を取り巻く世界の状況を肌で感じ、PKSHA は生成 AI 活用で最先端を走っていることを実感できました。一年しか経っていないとは思えないほどガラッと世界の潮流が変わっており、来年の re:Invent はどうなっているのか楽しみです。

去年はなかった も出現していました

最後に

PKSHA グループでは、生成 AI からコンテナ技術、IoT など様々な技術を活用し、未来のソフトウエアの開発を行なっています。一緒に最先端を走り、Innovation を生み出す仲間を募集しています!少しでも興味がある方は、ぜひカジュアル面談しましょう。

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