将来性の高いNLPで社会に価値創出を――幅広い業界のニーズが集まるPKSHAで貪欲に挑み続ける
「未来のソフトウェアを形にする」をミッションに、業界を横断したAIソリューションの開発や事業開発に挑むPKSHA Technology(パークシャテクノロジー、以下PKSHA)。国内における自然言語処理(Natural Language Processing、以下NLP)領域の研究・開発をけん引し、2017年にPKSHAへ入社した渡邉 陽太郎(わたなべ・ようたろう)さんに、アカデミアから転身の経緯やPKSHAの魅力、NLPの可能性について聞きました。
「NLP技術の進化をいち早く世の中に届けたい」と研究者からキャリアチェンジ
――PKSHA入社前のキャリアついて教えてください。
もともとは人工知能領域の一分野であるNLP技術を専門として、研究に従事していました。奈良先端科学技術大学院大学で博士課程を修了し、その後は東北大学で助教として4年ほど在籍。NLPの技術を使ってできることが確実に増えていると実感していたものの、それらの価値が世の中に正しく伝わっていないのではないかと思うようにもなりました。ごく限られた技術しか活用できていないんじゃないか、と。そのままアカデミアに残る選択肢もありましたが、アカデミアでの競争の厳しさも感じていた中で、もっと世の中にNLPの価値を正しく伝え、使われるべき場所で正しく使われるようにしたいという思いが強まり、社会実装へ軸足を移そうとキャリアチェンジを考えるようになりました。
転職した先は大手電機メーカーの研究所です。NLP技術の社会実装を意識しつつ、研究に携わりました。そこで世の中が求めているNLPのニーズに少しずつ触れることはできたのですが、研究所でのミッションは先進的な研究開発成果の創出が主軸であったため、世の中で求められている課題解決からは距離を感じていました。もう少しコンパクトな組織に身を置いて活動した方が、NLP技術の進化をいち早く世の中に届けられるのではないかと思い、転職活動を進めることにしたんです。
――PKSHAへはどういった経緯で入社したのですか。
PKSHAを知ったきっかけは、登録していた転職サイトからのメールでした。当時はまだ従業員数は30名ほどで、「東京大学の松尾豊先生の研究室発スタートアップ」という触れ込みは魅力的に映りましたが、外から得られる情報がかなり限られていたため、ちょっと怪しげな印象もありました。ですが、代表取締役の上野山さんと話をしたところ、今後大きく成長する“すごい会社”になるのではという確信を持ったんです。
世の中のニーズに対し、最先端の人工知能技術をいち早く取り入れて社会価値に繋げていきたいという話はまさに私がやりたいと思っていたことでしたし、事業戦略についての考えを聞く中で、「PKSHAなら勝てる」と思いました。また、メンバーが非常に優秀な人ばかりで、この組織に自分も入りたいというワクワク感を強く感じ、入社を決めました。
開発したばかりの技術をすぐに社会実装できる圧倒的なスピード感に手応え
――入社後に携わった領域について教えてください。また、どういったことを学びましたか。
入社のタイミングが画像領域チームの立ち上げのタイミングと重なったことから、最初に配属されたのは画像領域のチームでした。さらに、ソリューション案件のプロジェクトマネージャーを担うことなり、NLP研究者をバックグラウンドとする人間にとっては大きくコンフォートゾーンを逸脱した「画像領域のBiz」として活動をすることになりました。
大きなプロジェクトだったことから、上野山さんと一緒にお客様先を訪れて説明や提案をすることも多く、たくさんのフィードバックをいただいて成長できる機会となりました。これまでにない経験の連続で、苦労も多かったのが正直なところですが、社会実装する上で求められるクライアントコミュニケーションの経験を積むことができたことで、ビジネス側から求められることに対する解像度を高めることができ、その後の業務で活かせる知見を得られたと感じています。
――NLPに携わるようになった経緯を教えてください。
2年ほど経ったころ、画像領域チームのプロジェクトが落ち着いたので、本格的にNLPへと軸足を移すことになりました。しかし当時のPKSHAは、予測最適化や画像領域に対してNLPのソリューションプロジェクトが少なく、価値提供の機会に恵まれていませんでした。
PKSHAは当時からNLP技術には関心が強く、コミュニケーション領域における未来のソフトウエアに不可欠なものと信じていたのですが、実績が伴わない状況に大きな危機感があったのを覚えています。
そこで、まずはNLPのモジュールを幅広く開発し、様々な技術課題に対応できるようにしつつ、それによって何ができるのかをきちんと伝えられるように資料を揃えていきました。すると徐々に社内の理解が深まり、提案が増え、お客様にもNLPの価値を信じていただきプロジェクト数も増加。結果としてNLPのソリューション案件の数を大きく増やすことができました。その後は、弊社のプロダクトであるPKSHA Chatbot(旧BEDORE)向けにも最先端NLPの技術を提供して価値に繋げていくなど、プロダクト事業へも染み出していきました。
そういった流れで、PKSHAで言うところの「Layer 1」のソリューション事業、「Layer 2」のプロダクト事業に貢献した後、それらを生み出したアルゴリズムモジュールを先行開発したことが評価され、PKSHA全体のR&Dを任せてもらえることに。研究開発の責任者的な立場を担い、「Layer 0」のR&D活動をリードするようになりました。
――転職前の「NLP技術の進化をいち早く世の中に届けたい」という思いに対する手応えは感じられたのでしょうか。
非常に大きな手応えを感じました。研究開発によって生み出したできたばかりの技術がちょうどリード案件のお客様のニーズと合致し、そのままプロジェクト受注に至ったり、そのままプロダクトへ新しい技術として落とし込んだりといった事例も多く、そのスピード感は大企業では絶対にできないものだと思います。まさに私がやりたかったことだと思いながら取り組んでいました。
大規模言語モデルは要素技術のひとつ。多彩なアルゴリズムモジュール群と併用してニーズに応える
――NLP領域の研究を牽引してきた立場から、技術力においてPKSHAはどういった強みがありますか。
NLP領域では、昨今の大規模言語モデルの出現によって、従来の技術水準では実現が困難であった、様々なタスクにおいて高い水準のアウトプットが出せるようになりました。そのため、実現可能な社会価値創出の幅が大きく広がってきている状況です。実際に大規模言語モデルが世の中で広く注目され、活用が進んでいる状況ではあるのですが、必ずしも大規模言語モデルが常に最善の選択肢になるとは限りません。性能が最善ではなかったり、効果に対してコストがかかりすぎてしまう、などの状況が発生するためです。
私達は、2012年の創業からさまざまなプロジェクトを通して、様々なアルゴリズムモジュールを培ってきました。PKSHAの強みは、大規模言語モデルの能力を最大限引き出しつつも、これまでの技術的資産もうまく組み合わせることで、多様な業界課題に対してより適したソリューションを設計できる点にあると考えています。アルゴリズムモジュール群と組み合わせることで、大規模言語モデル単体に比べて、コンパクトな技術かつ低コストで同様のことを実現したり、より高いパフォーマンスを達成することが可能となります。
提供価値を最大限高めようとするとき、道具立てが大規模言語モデルだけでは難しい状況が度々あります。私たちは、さまざまなアルゴリズムモジュール群から最適な技術を選び、ソリューション設計して提案できる点で他社と差別化しています。
――NLPの将来性についてどのように考えていますか。
大規模言語モデルによる大幅な技術進歩があり、社会から注目され期待が高まっている現状は、これまでの長いNLPの歴史の中で最も世の中への価値提供が出来るタイミングだと感じています。この流れはしばらく継続していくものと考えています。
ただ、大規模言語モデルに対して過度な期待が寄せられていると感じることもあります。大規模言語モデルだから何でもできるわけではなく、できることとできないことを正しく整理し、伝えていく必要があると感じています。また、一概に大規模言語モデルといっても、例えばコミュニケーションスキルに秀でていたり、数学の問題を賢く解けたり、非常に高速に動作させることができたりと、モデルによって優秀さが異なります。それぞれの大規模言語モデルに対して適切な評価をして、ニーズに応じてどのモデルを使うか選択することも今後重要になってくる点だと考えています。
――PKSHAの組織としての魅力をお聞かせください。
研究開発と社会実装事業のバランスが非常に良いことであると考えています。技術があっても世の中のニーズをきちんと捉えて適切にデリバリーしなければ技術は世に出ていかず、価値も生まれません。しかし、PKSHAではコンサルティングファーム出身の優秀な方々がしっかりニーズをつかんだ上で、そこに技術を掛け合わせて世の中へ出していく。そのサイクルがとてもうまく回っている会社だと感じています。結果として会社としても順調に成長し、利益をしっかりと生み出している点は大きな魅力だと思います。
NLPにもPKSHAにも大きなポテンシャルがあり、アカデミア出身者が活躍できる
――アカデミアで活躍していた方が企業で社会実装に携わるおもしろさはどういったところにありますか。
世の中の真のニーズや社会課題に対してアプローチしていける点です。アカデミアではなかなか取り扱わないような問題もゴロゴロと転がっていて、そこへアプローチして解決へ導くことは、とてもやりがいがあります。特にPKSHAはドメインを絞っていないため、幅広い業界のプロジェクトが常に走っていますから、多様な業界の多様な課題解決に携われるおもしろさがあると思います。
私自身は、アカデミアにいたころと比べると価値観が大きく変化しました。学術的な成果創出を意識しながらも、技術を通じて社会へどのくらい価値を提供できたか、会社へ利益をもたらせたかという点を強く意識するようになったと感じています。この価値観の変化もあり、以前よりもより広い視野で物事を見られるようになりました。
人工知能技術の社会実装ニーズはどんどん高まってきていますので、アカデミアから企業へと移り、一度チャレンジしてみて合わなければまたアカデミアに戻る、というような選択肢もあるのではないかと思います。企業の中で、人工知能の技術を活用して世の中へ価値を生み出せる人材が求められていること、またそのような環境があるということはたくさんの方に知っていただきたいです。
――どのようなマインドを持つ人がPKSHAで活躍できると考えますか。
まずは、社会へ価値を生み出そうという意欲のある方です。大規模言語モデルやその発展系であるマルチモーダルモデルは高いパフォーマンスを達成していますが、まだまだ分かっていないことも多く、社会実装する上での障壁もたくさんあります。そういった課題に対して貪欲に向き合い、解決へと導いていける方がPKSHAのカルチャーにフィットしていると思います。
また、実現したいことに対して関連する周辺領域の知見を貪欲に吸収していける、PKSHAバリューに掲げられている「Learning Machine」の姿勢もあると良いと思います。ただ、がむしゃらに吸収することも大事ですが、より良い価値を生み出すためにどこの領域を深堀していくべきなのか気付き、能動的に学び、自身の活動に活かし、成果創出につなげようとする姿勢がとても重要だと考えています。
――最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。
弊社は大規模言語モデルを中心として、価値提供の機会にあふれています。技術が成熟し、世の中の関心も非常に高まっている状況ですので、活躍できる機会はたくさんあります。研究開発と事業のバランスが非常に取れており、自分自身が手掛けたものを世の中にどんどん出していけるので、とてもやりがいを感じられる、魅力的な環境だと思います。私達と一緒に、未来の社会を変えていきませんか?
―INFORMATION―
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