未来のソフトウエアを作る開発チーム紹介 〜PKSHA AIヘルプデスク篇〜
PKSHA グループでは、自然言語処理、音声認識技術等を用いた「PKSHA AI SaaS」というプロダクト群を提供しています。これによって、PKSHA が創業から 12 年間培ってきた技術や、蓄積してきた業界ノウハウを活用したソフトウエアを、SaaS として手軽に導入することができます。
この記事では「PKSHA AI SaaS」のプロダクトの 1 つである「PKSHA AIヘルプデスク」の運用開発チームについてご紹介します。
「PKSHA AIヘルプデスク」とは?
PKSHA Workplace が運営する、AI を活用したナレッジマネジメント(※)プラットフォームです。企業の情報システム部、人事総務部、大学の教務課といった「毎月膨大な数の問合せを受ける」ヘルプデスクのお客様に対し、問合せ工数の削減や働きやすさの向上をサポートしています。
※ナレッジマネジメント‥個人の持つ知識やノウハウといった「ナレッジ」を組織全体で効果的に収集、共有し、組織の生産性の向上等につなげること
主には、ヘルプデスクにおけるこのようなペインを解消しています。
★既存の FAQ ツールの活用率が低い
お客様の中には、月平均 5,000 〜 6,000 件の電話がかかってくるヘルプデスクも存在します。これらへの対応時間の削減のために一般的な FAQ などが用意されている一方で、検索が難しい、目的の回答までなかなかたどり着けないなどの点から活用率が低く、結果的に業務量が減らないケースが多いのも事実です。
★回答の複雑性が高く、ノウハウが属人化する
問合せの内容が難しくなると対応できる社員が限定されてしまい、特定の担当者に業務が集中します。たとえば生命保険の事務では、同じ 1 つの質問でも、法人か個人か、日本人か外国人か、未成年かなど、条件によってさまざまに分岐し、最終的な回答が異なります。このように一律で回答できない問合せに対しても、担当者間でノウハウを共有するための時間が確保できず、電話対応業務が属人化されたままになってるケースが多いです。
★ヘルプデスクの対応が追いついていない
ヘルプデスクの KPI の 1 つに着電率(※着信した電話に対応者が応答できた割合)を掲げるお客様は多いです。しかし、一日中電話が鳴りっぱなしで対応が追いつかない・問合せの数に対して対応人員数が足りず、着電率が十分に担保できないという課題もあります。
「PKSHA AIヘルプデスク」はこれらの課題を解決するのはもちろん、人材不足や知識継承の課題に直面する現代の企業にとって強力な味方となることを目指しています。
3 つの主要機能群
こうした課題を解決するために「PKSHA AIヘルプデスク」は 3 つの主要機能群を備えています。
①自動回答
Microsoft Teams やポータルサイトから来るユーザーの問合せに対して、生成 AI を活用した対話エンジンが自動的に応答します。この機能は、FAQ 検索、社内文書検索を適切に行い、ユーザーの問合せに対する素早く正確な情報提供を実現しています。
②ヘルプデスク
自動回答では得られなかった複雑な問題や特殊なケースでは、適切な部署の担当者に連携することができます。これにより、①の自動回答では対応できなかった問合せにも柔軟に対応できます。また、対応ログが記録されるので、回答の参照や分析だけでなく、新規の FAQ 作成を自動で提案し、簡単な操作で登録できます。
③お知らせ配信(開発中)
将来的に実装が検討されている機能として、②で得られた対話ログは AI により分析され、ヘルプデスク担当がユーザーに対するお知らせ内容を検討できます。配信内容決定後、チャットボットからお知らせが配信され、従業員に対して AI からプロアクティブな提案がされることが想定されています。
これらの機能群は相互に連携しており、使えば使うほどログが蓄積され、ログをもとに AI が賢くなり、AI が賢くなることによってより使いやすくなりさらに利用が増える、という弾み車の構造を実現しています。この統合的なアプローチにより、「PKSHA AIヘルプデスク」は企業のナレッジマネジメントをサポートしています。
技術スタックとシステム構成
技術スタック
フロントエンド:React を採用し、Azure Static Web Apps に構築
バックエンド:Go/Python/C# を採用し、Azure Container Apps 上で複数のサービスとしてスケーラブルに展開
AI:Azure OpenAI Service や周辺AIサービス群と PKSHA Chatbot の対話エンジンを活用
システム構成
Microsoft Teams アプリとして動作するクライアントで、Teams とシームレスなインターフェースを提供
Dapr をベースとしたクラウドネイティブなバックエンドで、高可用性と拡張性を実現
PKSHA Chatbot による FAQ の自動応答や社内ドキュメントに対する RAG による回答を実現
開発チームの構成・開発サイクル
開発チームの構成
2024 年 9 月現在、8 名のソフトウエアエンジニアと 3 名のプロダクトマネジャー、SRE、QA で開発を行っています。この他にセールス、マーケティング、カスタマーサクセスなどビジネス面を支えるチームがあり、ソフトウエアエンジニアは開発運用に集中できる環境になっています。
チームでは AI や機械学習を利用した機能を開発することがありますが、その際は PKSHA グループに所属するアルゴリズムエンジニアと協働して開発と改善を行っています。
開発サイクル
図のように 1 週間のスプリントで開発しており、毎週火曜日にリリース作業を行っています。この他、毎日の朝夕会の中で進捗の共有があります。また開発チームは週 1 の出社推奨日で定期的に顔をあわせる機会があるのと、tandem というリモートワークコミュニケーションツールを使用して、オフラインオンライン問わず気軽な情報共有や設計議論、雑談などが起こりやすい文化を維持しています。
Microsoft社との取り組み
Microsoft 社とのコラボレーションによって、双方のビジネス戦略に相乗効果をもたらしているのも大きな特徴です。両社ともエンタープライズ市場をターゲットとしており、この共通点を活かして協力関係を深めています。この協力関係により、両社はエンタープライズ市場でより競争力のある製品とサービスを提供し、市場シェアの拡大と顧客満足度の向上を目指しています。
技術的なおもしろさ・やりがい
「PKSHA AIヘルプデスク」の開発チームで働く楽しみは色々ありますが、ここでは代表的なものをいくつか取り上げてご紹介します。
プロダクトに LLM を積極的に取り入れている
昨今、LLM(大規模言語モデル)に対する期待は技術面とビジネス面の両面で大きな盛り上がりを見せており、顧客からの期待も大きいです。その期待に応えるため、私たちは積極的にプロダクトへの LLM 導入を進めています。LLM はまだまだ新しく、世の中に安定したベストプラクティスが存在しない中で、先進的なアーキテクチャの設計にチャレンジしています。
Biz のメンバーが優秀
Biz の皆さんが優秀かつコミュニケーションも頻繁にとれるので、開発した機能とプロダクトを最大限に活用してくれます。セールスの皆さんはお客様に製品を届ける力が強いですし、プロダクトマネージャーとマーケティングチームが連携して機能のリリースと発表のスケジュールをすり合わせし、新機能の開発前から認知獲得に動いてくれます。カスタマーサクセスはお客様にとって価値ある形で製品の導入と活用をサポートし、お客様からの貴重なご意見も開発チームへ適切にフィードバックしてくれます。
プロダクトを開発・運用していると、「新機能をリリースはしたものの使われているのかどうかわからない」と不安があると思います。しかし、開発と Biz ががっつりタッグを組んで開発運用しているため、そういったことは起きず、新機能のリリースを待っているお客様に確実に届けることができます。お客様には新機能をすぐにご利用いただけるため、フィードバックや改善要望はソフトウエアエンジニアにすぐに伝わり、改善に動くことができています。
最先端の Azure マネージドサービスや AI に詳しくなることができる
Azure Container Apps や Azure AI Services など、Microsoft Azure における最先端のマネージドサービスをいち早くプロダクトに活用しており、エンジニアとして成長する機会が得られます。さらに、エンタープライズのお客様の期待に応えられるクオリティが求められる環境下で、高度な技術力と深い洞察力を磨くことができます。
また、新規開発では複雑な課題に直面することが多々あるため、サービスの仕様を細部まで理解し、関連する技術に精通することが不可欠です。そのため、開発チームでは、エンジニアが技術を深く掘り下げて学び、専門知識を蓄積し、チーム内外へ広げることを奨励しています。
この過程で、最新のクラウド技術やサービスアーキテクチャ、検索、コンテナ化、自動化ツールなどについて、実践的な経験を積むことができます。加えて、大規模システムの設計や運用に関する知見も得られます。
おわりに
私たち「PKSHA AIヘルプデスク」開発チームは常に革新的な SaaS を追求し、企業の生産性向上に貢献することを目指しています。これまで紹介してきたように、私たちのチームでは最先端の技術に触れながら、ビジネス課題を解決する機会に恵まれています。 エンジニアとしての成長だけでなく、プロダクトが実際にユーザーに届く喜びを感じられる環境です。
そして今、この事業に一緒に参画してくれる仲間を探しています。興味のある方は、カジュアル面談で一度お話ししましょう!私たちのビジョンや文化、具体的な仕事の内容についてお伝えできればと思います。 今すぐの転職を考えていなくても構いません。気軽な雰囲気であなたのキャリアの展望や興味分野についても伺えればと思います。
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