先端技術を「使われる」ものへ――事例なき領域をエンジニアと共に走り続ける醍醐味とは
「未来のソフトウェアを形にする」をミッションに掲げ、さまざまな業界の課題解決に資するAI領域のソリューションを提供するPKSHA Technology(パークシャテクノロジー、以下PKSHA)。コンサルティングファームで幅広い経験を重ね、PKSHAに転職した前田 崇(まえだ・たかし)さんは、現在大規模言語モデルを用いたソリューションをエンジニアと共に提案し、新たな価値提供を模索しています。その仕事を通じて感じるPKSHAの魅力について、お聞きしました。
ソリューションとプロダクト、両輪を回す最適解を求めて
――PKSHAに入社する前のキャリアについて教えてください。
東京大学の修士課程を修了後、アクセンチュアに入社しました。それまで電子情報工学関連の技術について学んできたものの、それがどうやってビジネスに活かされるのかまでイメージできなかったため、ITの知見を活かすビジネスについて学びたいと思ったことが志望動機です。
もしもその頃PKSHAがあったら入社していたかもしれませんが、当時はまだIT系ベンチャーという選択肢が珍しい時代でした。ですので、ITとビジネス両方のスキルが身につくと感じたアクセンチュアで6年間勤め、基礎をひと通り学んだ後、デロイトに転職しました。
――デロイトでは、デジタルプロダクトを作る部署を立ち上げたそうですね。
私のデロイトでのキャリアは少し特殊で、エキスパットとしてUSファームから日本に来ていたアメリカ人の上司と5年間共に歩んだことで、さまざまな経験を重ねることができました。今までとは異なる仕事の仕方を学びつつ、グローバルプロジェクトに参画し、日本と比べて売上規模の大きなプロジェクトにも恵まれたと思います。
ある年、自身の年間売上を早々に達成したため、新しいことに挑戦できる期間が少しあったため、その上司と共にデジタルプロダクト組織の立ち上げに挑んだことが、大きな転機となりました。人の稼働に依存したビジネスには限界があるという課題意識が兼ねてからデロイトのUSファームにはあったようで、航空業界の主にメンテナンスに関わるサプライチェーンプラットフォームを作ろうと試みたのです。その約3年後、日本でも同様の課題意識からプロダクト系の組織を立ち上げる流れがあり、すでに経験がある人材としてそのプロジェクトの取りまとめを担いました。
組織立ち上げのプロジェクト立ち上げから2年間で、ある程度組織が活動するベースを作ることはできたのですが、実はその間ずっと「自分のやり方は正しいのだろうか」という自問自答を続けていました。やはりベースにあるのはコンサルティングを軸としたソリューション事業であり、そこに全く違うビジネスモデルのプロダクト事業をどうやったら共存させられるかは、大きな悩みのポイントでした。社内にもその答えを知るメンバーはいなかった事もあり、ソリューションとプロダクト、双方のビジネスをやっている会社への興味が湧いてくるようになりました。最初は、そもそもそんな会社が日本に存在しているのかすら疑心暗鬼になっていたのは良く覚えています。
そんななかエージェントの紹介がきっかけで出会ったのが、PKSHAです。先ほど挙げたソリューションとプロダクト双方でビジネスが成り立っていることに惹かれました。色んな会社を受けましたが、双方でビジネスが成立しているのはPKSHAだけであったことが転職の決め手になりました。
「本当に必要なのか」問いながら最新技術の実装を進める
――現在の業務を教えてください。
現在はAI Solution事業本部に所属し、「ChatGPT」をはじめとした生成型AIに関するソリューションをエンジニアと共に提供しています。現在特に深く関わっているのはエンタメ業界で、一部製薬・製造業界も担当しています。
実際携わってみて感じるコンサル時代との違いは、「お客様もまだ答えを知らない」ということです。コンサルティングファームではやるべきことが明確になったうえで発注があり、それを着実にやりきることが重視されていましたが、PKSHAではお客様の悩みの根幹を紐解いていくプロセスの重要性が高いと感じます。
――そうしたお客様との対話で心がけていることはありますか。
お客様からは「なんとなくの感覚でAIでこういうことをやりたい」「AIを使えば何でもできる」と思われてしまうこともあります。その考えを前提とした相談を、「どうしてそうしたいのか」という視点から紐解いていくと、根幹には全く別の悩みがあり、最適な解決策が異なることもあるのです。
よくある「PoCばかりやっていて実装につながらない」という事態を避けるためにも、お客様の本質的な課題を見極めることを常々心がけています。その結果として、「AIを取り入れる必要はない」という結論に至ることもあります。
――生成型AIを実装するうえで、大切なことは何ですか。
生成型AIを何かしらのコンテンツに組み込む場合、そもそもAIがそのコンテンツに必要なのか、そしてコンテンツの魅力を維持するためにはAIをどうコントロールするかが重要です。
例えば、ゲームコンテンツに生成型AIの技術を活用すれば、ユーザーとバーチャルキャラクターが任意で対話するような体験を作ることも技術的には可能です。しかし、それで果たしてユーザーがより楽しい体験をできるかどうか考えなければなりません。対話の内容によっては、コンテンツの世界観や設定を崩してしまうリスクもありますし、そうでなくても大きなユーザー体験の向上には繋がらず、コストばかりかかってしまうこともあり得ます。
生成型AIは技術的に面白く、さまざまな活用方法が話題を呼んでいます。一方で、それらの事例は今のところ個人的な作業のアシスタントなどにとどまっており、ビジネスとしてオペレーションが確立された成功事例はほとんどありません。
私たちはユーザーエクスペリエンスと技術の可能性とのバランスを考えながら、お客様のコストと見合い、かつ技術がはまるユースケースをピンポイントで射抜いて事業を進めていきたいと思っています。
――生成型AIの特色を活かした実例があれば教えてください。
専門性の高いBtoB領域におけるECサイトでは、対話を通じた商品検索が価値を生み出すケースがあります。
現在広く利用されているBtoCのECサイトは、商品名で検索をかけるのが一般的です。ユーザーが商品名を知っていればこれで問題ありませんが、名称ではなく条件で商品を検索せざるを得ない、ということもあるものです。例えば、企業が何かしらの商品を作るために、特定の条件を満たす在庫数の少ないパーツの有無を調べるようなニーズがこれにあたります。
こうしたアイデアを提案できる背景には、技術活用について日々研究し、最新情報をキャッチアップするエンジニアの存在があります。先に挙げたソリューション例のように生成型AIと検索を組み合わせる手法は、つい半年前までは実現が難しい状況でした。しかし、日々様々な技術が出てきており、それらを組み合わせてユースケースを絞れば、かなり高い精度で生成型AIと検索を実現できることが分かってきています。
エンジニアに関わらず、PKSHAのメンバーは総じてアンテナが高く、率先して新しい情報を取りに行きます。そういった組織だからこそ、他社に先駆けて新技術を活用したソリューションを提案できるのです。
先端技術の社会実装に自ら携われる貴重な場を活かして
――前田様が感じるPKSHAの魅力を教えてください。
PKSHAは社会実装を目標とし、その技術が使われるかどうかを強烈に意識する会社です。そのため、お客様のためになるものを追求し続け、「使わないならやめたほうがいい」と言えるメンバーが集っているのが魅力だと思います。
また、ビジネスモデルや組織構成にも魅力を感じます。ソリューションとプロダクト双方でしっかり売上を立てているうえでR&Dにも取り組んでおり、それぞれの協力関係も絶妙なバランスが保たれていますが、このようなバランス感覚をもって運営されている会社はなかなか珍しいのではないでしょうか。
特に、ビジネスやマネジメントについて理解のあるエンジニアが多いことは、PKSHAの強みでもあります。一方で、全てのエンジニアがビジネススキルの向上やマネジメントレイヤーを目指す必要はなく、技術を追求していくキャリアパスがしっかりと用意されていて、組織として成立している所もPKSHAの強みなのかなと思います。
――働きやすさについてはいかがですか。
ちょうど先日子どもが産まれて、2ヵ月ほど育児休暇を取得しました。出産時期の約半年前に相談しましたが「ぜひ(休暇を)取って!」と快く受け入れてもらい、仕事の引継ぎもスムーズに進みました。休暇後の復帰についてもストレスなく、自然な流れでしたね。
また、コアタイムは決まっているものの、働きやすさを重視して各々が柔軟に予定を調整できる環境が魅力です。カレンダーに「子どものお迎え」を登録しているメンバーもよく見かけます。お互いフォローしたり、予定を調整したりする際の心遣いがあるので、働きやすさが自然と醸成されるのだと感じています。
――最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。
「テクノロジーが好きな人」、「テクノロジーをビジネスに昇華したい人」にぜひ来ていただきたいです。特にこれまでのキャリアで「テクノロジーの構想策定・要件定義くらいまでは自社でやるが、実装は他社にお任せ」という姿勢をもどかしく感じてきた方であれば、自ら実装に携われるPKSHAに魅力を感じていただけるでしょう。
そのうえで、私たちは最先端の技術領域に挑み続ける会社であるということもお伝えしたいです。現在私が注力している言語モデルの社会実装は、まだ成功事例がなく、自分で切り拓いていかなければなりません。もちろんそこには“産みの苦しみ”がありますが、試行錯誤の末に解像度を高めていけることもあるのだと日々実感します。
たまたま今は大規模言語モデルがホットトピックになってはいますが、きっと3年後はまた新しい別の技術を追いかけているはずです。常に新しい技術領域を切り拓き続けるキャリアを歩みたい方は、ぜひ門を叩いてください。
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